その人の歩んで来た
「人生」を尊重し
よりその人「らしく」
幸せに生きられる場を
人間誰しも、例外なく、老いて亡くなります。そして、最後の日まで自力で生きられる人ばかりではありません。高齢になり、病気ではないけれど、それまでの家での暮らしは難しい方が、スタッフの見守りや手助けのもとで、人生最後の季節を安心して過ごす場。それが、私たちが運営する「介護施設」です。
昔は大家族で大変な思いをしながらなんとか家庭での介護をしていましたが、そういう時代ではありません。そこで、家庭やひとりでの暮らしが困難な方が集まり、介護スタッフのチームで運営をする、いわば「みんなでみんなをみる」社会的な介護に移行したわけです。
「介護施設」は病気を治すことに特化した病院や、生活に必要なことはすべてやってもらうホテルとは違います。そこには日常生活があります。また、病気でなく、衣食住さえ足りていればよいわけではなく、さまざまな人生を歩んでこられた利用者のおひとりおひとりが、最後までその人間性を尊重され、幸せに生きていける場であるべきです。どうすれば、そのような場にしていけるのか、私たちは日々考えています。その中でも、特に大切にしていることをまとめました。
ひとりひとりの
人生を尊重する
それぞれに固有の人生を利用者さんには、ひとりひとりの物語があります。誰もが、同じことをよろこび、同じものを大事にしているとは限りません。私たちはおひとりおひとりが「これまで」重ねて来た人生を尊重することを、第一に考えます。
ワイワイいっしょに作業するのが好きな方。ある特定のことにこだわりや関心を持っている方。ひとり静かに過ごす時間が大切な方。心配事や不安が尽きない方。それぞれの長い人生の中で培われてきたものを、感じ取り、ひとりひとりがおだやかに、かつ充実して過ごせるよう接したいと思っています。
暮らしをていねいに
日常生活を成り立たせている衣食住には、洗濯、調理、掃除などの家事がともないます。多くの高齢者施設では、こうした家事はあたりまえのように「職員の仕事」になっていますが、実は「できることをやる」「関われる余地がある」ことが、暮らしの張り合いになると私たちは考えます。
洗濯物をたたむ、野菜を切る、おやつの飾り付けをする・・食事と食事の合間の時間に、サポートするスタッフと一緒にゆっくり手を動かし、おしゃべりをしながら、笑い合いながらできることをする。それが日課になっています。食事にはスタッフの家庭的な手作り料理が並びますが、地域の伝統食も大事にしています。利用者さんがはりきってスタッフにつくりかたを教えてくれることもあります。
「夢中になれること」を応援
しかし、暮らしは家事だけでなりたっているわけではありません。「やりたい」と意欲を持てることがあってこそ、人は生き生きとします。
春になれば畑に出たい人。手仕事に熱中する人。遠くにいる妹に会いたい人。本を読みたい人。ひとりひとりの「やりたい」を、おひとりおひとりと接する中で見つけたら、スタッフ間で情報共有し、必要に応じてものを調達・準備・外部との調整などをしながら「やりたい」を実現するサポートをします。
認知症の方が集団生活をしているグループホームいずみのでは、着物をほどいて「ねこ」という防寒着をみんなでたくさんつくり、一時期は通信販売までしていました!
社会と関わる
高齢の人ばかりで集団生活をしている「介護施設」では、スタッフや家族以外との関わりが少なくなってしまいますが、さまざまな世代の人と接したり、図書館や文化発表会などにでかけたりすることは、利用者のみなさんの元気の秘訣です。
私たちの施設には、近くの保育園や小学生の子どもたちがよく遊びに来てくれます。夏休みともなると、スタッフの子どもたちが来て宿題をしていたり、利用者さんと一緒にブルーベリー摘みに行ったりすることも。
利用者さんにとっては「ひ孫」くらいの子どもたちとの触れ合いで、笑顔もほころびます。血縁はなくても、ひとりひとりが孤独に過ごすのでなく、大勢でのあたたかい交わりの中で暮らす場づくりを、私たちはめざしています。
豊かな自然の中で、
季節を楽しむ
リゾートケアハウス蓼科の4つの施設は、いずれもすばらしい自然の中にあります。季節のめぐりの中で能動的に活動することは、暮らしの彩りにも生きがいにもなると私たちは考えます。
特に、この田園地帯で生きてこられた利用者のみなさんの多くは、畑で季節の野菜を育て、料理し、大量に収穫したものは保存食にする「知恵」をお持ちです。若いスタッフが教わりながらともに作業をすることは、そうした地域文化の伝承にもなっています。
お正月には書き初め。節分には豆まき。ひなまつり。桜の時期のお花見。七夕、クリスマス。それぞれの行事も手作りでかざりつけをしたり、行事食を作ったりして楽しみます。
日々の健康管理と
医療機関との連携
体重や血圧の変化。食事の様子。水分をどれくらい摂取したか。顔色やご機嫌。利用者の方の心身の健康状態は毎日の計測データと、数字だけでない、着衣のしかたや気分をも含めケアハウスのスタッフが「日々様子を見ること」でわかります。「あれ、なにかおかしいな?」と判断すれば、ご家族に相談の上、それぞれの主治医に連絡します。付近の基幹病院の他、すぐ近くにある提携医院「ライフクリニック蓼科」を受診します。「ライフクリニック蓼科」はいつでも医療的相談にのってくれるので、安心です。
「ライフクリニック蓼科」の先生は、利用者のみなさんの「ホームドクター」。ちょっと風邪をひいた、おなかが痛い、眠れない・・日々の健康な状態から少し落ちた状態と、そこから回復していく様子を知っている先生がいてくれることが、安心につながります。より専門的な検査や手術、入院などが必要な場合でも、諏訪中央病院や諏訪日赤病院ともすみやかに連携をとれるので、安心です。
「利用者のみなさんとは、病気の時だけでないおつきあいをさせていただいています。検診などで普段の様子を知っているからこそ、いつもと少し変わったところがあれば、気づける。それがホームドクターである僕の役割かなと。おひとりおひとりが、その人らしく健康な日常を保てるよう、継続的にお手伝いさせていただきます。」