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2015年3月17日

チエさんの一日

こんにちは、グループホームいずみのです。
スタッフの一日シリーズ第二弾!今回は子育て世代代表、グループホームいずみのスタッフのチエさんに密着!

9:00 出勤
チエさんは3人のお子さんを育てる現役ママ。下の子を保育園に送ってから出勤します。(通常の日勤時間帯は8:00)
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スタッフプロフィール:
チエさん。前職は介護老人保健施設スタッフ。バリバリの信州人。家の野菜や漬物(とてもおいしい)をたくさん差し入れしてくれる。お子さんの通う保育園でインフルエンザが流行っているためマスク着用中。

チエさん :「外寒かったよお〜」
利用者さん:「冷たいおててだ。こっちおいで〜。」
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まずは夜勤の人から申し送り事項を聞きます。利用者さんの状態、今日の予定などを把握します。
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申し送り中に利用者さんから買い物の指示が。
グループホームいずみのは利用者さんと食事を作る日があります。
前日〜当日の朝に献立を決め、食材の買い出しに行くのですが追加の注文があるとのことで言いにきてくれました。

買い出しリストを携えて、いざ買い物へ!
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いずみのの自慢は景色の良さ!
買い物に行くにもこの景色です。車窓からの眺めに、一緒に出掛けた利用者さんたちも「素晴らしい」「今日は最高の日だ!」と絶賛!
ご夫婦で入居されている利用者さん(数日前から夫婦喧嘩中)と行ったのですが、景色を見ながら仲良くお話されていました。良い気分転換になったのだと思います。

買い物はだいたい農協(この日はピアみどり)を使います。
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「舞茸はどれがいいかね?」

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「あさりはどれがいいかね?」
主婦歴◯十年の利用者さんに目利きしてもらいます。

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「けっこうお値段するのね〜」
この日は節分だったため、巻き寿司も買います。

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買い出しリストで抜け漏れチェック!

お会計を済ませ・・・・・
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予算オーバーです (((( ; º Дº )))))    
お寿司が予想以上に値段を釣り上げたらしく
チョコを諦めました。
他のお菓子も諦めました。

ホームに帰り、買い出ししてきた食材で料理を始めます。

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利用者さんの盛り付けのサポートをしたり

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味見を頼まれたりします。
(熱々のお汁を味見させられるチエさん。)

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「あっついわ!!!」(利用者さん大爆笑。)

いずみのの2階の利用者さんは9名。
スタッフは、食材を切る・調理する・盛り付ける等の仕事を同時にすすめていく何人もの利用者さんたちのサポートを、”いい感じ”の動きで行います。
(この日のメニューについては、詳しくはこの記事で。)

12:00 昼食
利用者さんたちと一緒にご飯を食べます。

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和気あいあい。
「恵方巻きは黙って食べるんだって〜」とおしゃべりしながら(あれ?)食べました。

食事のあとは、みんなで片付け。
洗い物担当・食器拭き担当と、利用者さんたちは各々ご自分の役割を持っています。
共同生活をするなかで、スタッフ・利用者さんともに試行錯誤しながら出来上がった役割分担です。

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出来上がった役割分担と言いましたが、
この日は普段は洗い物をされない利用者さんがやる気になった様子。

いつも洗い物担当として動いてくれている利用者さんは
「やる気の人にやってもらえばいいの。」とちょっと悔しそうに台拭きをしてくれました。

一人ひとりの利用者さんが、主体的にホームの生活に関わっていく過程の中で、いわゆるご近所さんたちが、公民館等で一緒に何かするときみたいな雰囲気になってきます。すなわち、小さい規模のコミュニティになるということです。

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こちらの方は食器拭き担当。
立ち仕事は腰が痛くなるとのことで、食器拭き担当になりました。
皆さん積極的にお仕事してくださいますが、スタッフからの「いつもありがとうございます。」の一言が大事。
みなさん、身近な人に「ありがとう」って言葉で伝えてますか?

12:30 休憩
交代で休憩をとります。

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いろんな人向けの交流スペース(時間帯により休憩室)からの景色がこちら!八ヶ岳が真正面に見えます。
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休憩後、利用者さんを誘ってお汁のアサリの殻を洗うチエさん。
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このアサリを使って貝殻のストラップを作るんだそうです。
ストラップは地域の中学生にプレゼントする予定です。

「オレも混ぜろ(方言で、「私も一緒にやるよ。」の意味)」と別の利用者さんも来てくれました。
おしゃべりしながら作業は進みます。
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どんなものが出来上がるのか。乞うご期待です!
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一仕事終え、利用者さんの足がむくんでいることに気づくチエさん。
むくみに効果があるアロマオイルでマッサージをします。
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アロママッサージについてはこの記事で。

「気持ちよかったなあ〜。オレもやってやる。(方言で「私もお返しでやってあげるよ。」の意味)」とお礼の肩たたき。笑
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15:00 お茶
お茶の時間です。
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ホームの収益のために利用者さんの水着写真付きの漬物を販売しよう、というとんでもない話で盛り上がっています。
「水着がないから、さっき洗ったアサリで隠そうか!」
「いやいやせめてハマグリでお願いしたいねえ〜!」
「ハマグリは高いからダメだよ!儲けが出るまでアサリだね!」

ご家族はびっくりされるのではないでしょうか・・・笑

15:30 退勤
利用者さんたちとお茶を飲んだら退勤です。
利用者さんたちも、チエさんの保育園のお迎えの時間を気にかけており、「おめさん早く帰れ(方言で「あなた、早くかえりなさいよ」の意味)」と声をかけてくれます。
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ちなみにチエさんが背負っている紫色のベストみたいな物は、
南信州に古くから伝わる防寒着で「ねこ」といいます。
作業しやすいように袖はなく、背中が温まる形状になっています。
利用者さんでもめったに着ていない信州の伝統着を、ナチュラルに身につけるチエさんが好きです。

そういえば当社では、職員の求人をしております。
求人情報はこちら

興味がある人、チエさんや利用者さんに信州の伝統を教わりたい人、
ご連絡お待ちしていますっ!

2015年2月17日

ユキミさんの一日

こんにちは。ケアホーム豊平です。
ブログやfacebookで日常の一コマをお届けしておりますが、「一コマじゃ物足りない!丸一日が知りたい!」という方のために、スタッフの一日を密着取材してみました。

今回はケアホーム豊平で働く男性スタッフ(当社では数名のレアな存在です)、ユキミさんに密着!

10:15 出勤

今日は「遅番」のユキミさん。
ケアホーム豊平の「遅番」は10:15出勤になります。(日勤は8:30)
タイムカードをピッ!(ICカード式です)
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「おはようございます!」
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スタッフプロフィール:
ユキミさん。前職は車のガレージ制作。長らくイギリスで暮らしていた(詳細は謎)。イギリス永住権取得済み。声が素敵。

はじめに、その日の「サポート」(スタッフ全体の動きをみながら、みんながいい感じに動けるようにサポートする役割のスタッフ)のマユミさんから申し送り事項を聞きます。
利用者さんの状態や、薬の変更などを把握します。
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申し送りを聞いたら、いざ利用者さんのもとへ!
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利用者さんといっしょにシーツを交換します。
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「あれっ、なんかここ涼しすぎません?」
「そ〜お?」
「あ、冷房ついてましたね〜」
「あら気づかなかったわ」
「「あははははは」」

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外は雪。ケアホーム豊平は今日も平和です。
(笑いながら撮ったので、写真がややブレました。)

廊下にはアロマディフューザーでアロマを焚きます。
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このアロマは免疫を高める効果が期待できるそうです。
当社では蓼科ハーバルノート・シンプルズさんのご協力のもと、いろんなところ(場所や時間に合わせて焚いたり、利用者さん毎のマッサージに使ったり、スタッフの肩こりに塗ったり)でアロマテラピーを使用しています。
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続いて利用者さんと歩行訓練。

行って
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帰って
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行って
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帰って
行っ(略

写真で見るとシュールですが、おしゃべりしながら楽しげに歩きます。

この利用者さんはユキミさんのファンなのでしょうか?
ほんのり嬉しそうです♡ 男性スタッフは(例外もありますが)利用者さんにモテます。ユキミさんはスタッフにもモテます。

そうこうしている間にお昼の時間が近づいてきました!
利用者さんに昼食のお誘いをしつつ、薬を準備したり嚥下障害があるなどの理由でムセやすい利用者さんの飲み物に「とろみ」をつけたりします。
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12:00 昼食

ご飯の時間です。
配膳・下膳と、食事に介助が必要な方のお手伝いをします。
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ご自分で食べていただけるように、声をかけたりしています。ご自身で出来ることを奪ってしまっては本末転倒。

13:00 休憩

交代でお昼の休憩をします。(30分)
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この日は雪で窓の外は真っ白でしたが、晴れていれば八ヶ岳と蓼科山を望む、とても景色の良い休憩室です。利用者さんも景色を見たり、お茶を飲みに来たりする部屋です。

13:40 申し送り&カンファレンス

休憩後は再度申し送りと、カンファレンス。
前の日からの申し送り事項とともに、利用者さんのその日の様子や気になった点などを共有します。時々、美味しいコーヒーもでます。(マネージャーの山田さんがフレンチプレスでいれてくれます。今日は豆が在庫切れとのことです。)
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14:00 ブンネ®メソッドの時間

ケアホーム豊平では、音楽を使ったケア、ブンネ®メソッドを導入しています。

ブンネの時間は、とても楽しみにされている利用者さんも多いです。
「あのエレキギターは毎日やってもいいわ」という方も。
※エレキギターではありません
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ユキミさんはブンネ®メソッドの一級を取得している、ブンネのお兄さん(通称:ブン兄)なのです。

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ブンネ®メソッドを使って、利用者さんからいろいろな話を引き出します。
この日は「他県から来た人に紹介したい、地元の良いところ」を聞きました。

「T市のN公園。すごく綺麗なんだよ。一度お出かけなさいね。」
その方の出身地の有名な公園だそうです。
時折、その方のお話に出てくる公園です。素敵なんだろうなあ。
「諏訪湖の御神渡り」
ホームのある茅野市の近くにある諏訪湖の冬の風景です。
諏訪湖が全面結氷した時にできる氷のせり上がりを御神渡り(おみわたり)といいます。(「神渡」という日本酒もあります。)
諏訪大社の神様(夫婦の神様)の渡っていく道だとも言われています。(ロマンチック♡)

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利用者さんもユキミさんの指揮のもと、スウィングバーギターという楽器を演奏します。
エレキギターではありませんが、きっと気分はイケイケです。

15:00 お茶の時間

音楽を楽しんでいたら、あっという間にお茶の時間!
お茶の前にはいつも、利用者さんが洗濯物をたたんでくれています。
利用者さん同士で「◯◯さん、行くよ〜」と声を掛け合いながらお茶のちょっと前になると集まってきてくれるのです。
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この日は洗濯物だけでなく、広告紙を折ってゴミ入れも作ってくれました。
テーブルに置いて毎日使っているのですが、前に大量生産してからしばらく作っておらず・・・
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スタッフ含め全員が作り方を忘れていました(笑)

もろもろ片付いたら、みんなで体操!(自由参加ですが、だいたいみなさん集まってきます。)
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ユキミさんは体操のお兄さんも似合いますなあ。
(そろそろバレてるかと思いますが、筆者はユキミさんのファンです。)

一汗かいて、お茶を飲みます。

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スタッフもおのおの好きな飲み物を入れて飲みます。
しばしのまったりタイムです。

16:00 いろいろ(だんだん雑になってきました。ごめんなさい)

お茶を飲み終わるとそろそろ一日も後半だな〜という感じです。

利用者さんの様子を伺いながらお部屋のタオルを交換したり、ゴミを集めたりします。
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この時間に限らず、利用者さんのことで気づいたことは「生活記録」に記録します。
スタッフ全員で、利用者さんの様子を共有するための大事な業務。
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18:00 夕食

昼食時と同じく、介助が必要な方のお手伝い。
「食べたいな」という気持ちで利用者さんの手が伸びるように、お話ししながら。
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食事が終わると
利用者さんがお部屋に帰るのに付き添いつつ
必要な方には歯磨きやトイレの声かけ、介助をします。

19:30 退勤

利用者さんの対応が終わるとだいたい19時半。退勤の時間です。(日勤は17:15)
玄関まで見送ろうとしたら、ユキミさんの様子がおかしい・・・
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お気に入りのダウンのチャックが壊れてしまったそうです。
どんまいです。

(ちゃんと直りました)

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気を取り直して、ごきげんよう!
最後まで笑顔が素敵なユキミさんでした!

そういえば当社では、職員の求人をしております。
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ご連絡お待ちしていますっ!

2015年2月16日

認知症をニンチと呼ぶことについて

こんにちは。グループホームいずみの 吉田です。

「認知症」という言葉。
最近では色々なところで耳にする機会が増えてきているのではないでしょうか。少し前(2004年)まで「痴呆」という言葉が使われていました。みなさんの中にも聞いたことがある方も多いかと思います。

世間一般に使われていた言葉。
なぜ時間と労力をかけてまで呼称の変更をしたのでしょうか?

「痴呆」を辞書で調べてみると、

愚かなこと。愚かな人。

とあります。
「痴」という字には、「愚かなこと、馬鹿」という意。
「呆」という字には、「愚か、馬鹿」「阿呆」という意。
つまり痴呆老人と書くと、馬鹿アホじいさん・馬鹿アホばあさんということになってしまいますよね。これを普通に行政用語としても公式に世の中で使われていたわけです。

それは差別や偏見も甚だしい!人権はどこに?さすがにマズいよね!ということで、「痴呆」から「認知症」に呼称が変更になったのです。

しかしその流れに逆行するかのような行為がタイトルにもある「ニンチ」という呼び方だと私たちは考えます。なぜ「認知症」を「ニンチ」と省略することに問題があるのでしょう?

主にそんな光景を見かける場面を見てみましょう。
残念ながら「ニンチ」と使っている人の多くは医療福祉従事者です。省略することで精通している感じ・熟練者っぽさを醸し出すことができるような感もあります。
「あの人ニンチだからさ」
「ニンチの人でしょ?」
「ニンチ進んじゃったね」
こんな場面を、耳にしたことある方もいらっしゃるかもしれません。

省略することのデメリットは以下の3つに分けられると思います。

【1】そもそも日本語として意味がおかしい。
「認知」という言葉を辞書で調べてみると、

(1)それとしてはっきりと認めること。 「目標を-する」
(2)法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子を,親が戸籍法の手続きによって,自分の子とする。認知されるとその子は非嫡出子となる。自発的に行うことを任意認知,裁判による場合を強制認知という。
(3)〘心〙〔cognition〕 生活体が対象についての知識を得ること。また,その過程。知覚だけでなく,推理・判断・記憶などの機能を含み,外界の情報を能動的に収集し処理する過程。(大辞林 第三版より)

とあります。
認知できることは正常とされており、認知能力の低下した状態が認知症であるとしているのに、ニンチがある=認知症だとなんだかよくわからない日本語になっちゃいますよね。言語能力を疑われてしまいます。

【2】事実関係が誤って伝わってしまう。
認知がある=認知できる、正常であるということですが、
「ニンチ」を普段から使っている人との会話では、ニンチがある=認知症であるという意味になってしまいかねません。
なんだか会話がちくはぐになってしまいます。
「どっちやねん!?」です。(なぜか関西弁)

【3】自らの専門職としての信用を失墜させてしまう。
「ニンチ」という呼称に危機感をもった人はたくさんいます。
そして、そういう人たちの多くは認知症に対して、介護に対して、福祉に対して、地域づくりに対して、先進的に取り組まれている方が多いです。
うっかり「ニンチ」と言ってしまおうものなら、「あれ?」と思われてしまう可能性大です。
一瞬で信用ガタ落ちです。

また、「ニンチ」と省略する場面での会話として
「あの人ニンチだからさ・・」
この「・・」に隠れた言葉・思いとして、
「どうせすぐ忘れるでしょ」
「どうせわからないでしょ」
といった意があるように感じられます。この見下した・人権への配慮の感じられない言い回しからの脱却こそが、痴呆から認知症への呼称変更の狙い・目的であったのに、まさに逆行する行為になってしまっています。

このように「ニンチ」と省略することにメリットは見出せないので、省略しないに越したことはないと思うのです。

さて認知症と呼称が変更されてから約10年。
「ニンチ」と呼ぶ人がいる一方で、ここ最近では、認知症に関して少しずつ理解が深まり、
・認知症になったからといって何もできなくなる、わからなくなるわけじゃない。
・認知症になっても適切な支援や周りの理解があれば、主体的に生きていくことができる。

といった認識の変化が広まってきました。私たちもグループホームでの実践を通して経験としてそれを感じています。また、認知症当事者によるワーキンググループが昨年末に発足し、「私たち抜きに私たちのことを決めないで!」とメッセージを発することで、その声が国策にまで反映される運び(新オレンジプラン)となったことも記憶に新しいです。

なんだか認知症に関して新しい扉が開きそうな予感がしませんか?
私はそう感じています。
今はまだ「認知症」という言葉には、ネガティブな印象が強くある感が否めないですが、日々の取り組みなどから少しずつでもそんな新しい扉につながることを発信していき、認知症になっても変わらず暮らしていける地域づくりに取り組んでいきたいと考えています。

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先日の買い物の一コマ。困ったときに助けてくれる人がいれば、ゆっくり支払いするのを待ってくれる店員さん・他のお客さんがいれば、お買い物も楽しめるのです。